AOT・AOTGA、スワンナプーム空港の第3貨物倉庫PPPを契約 事業総額379億バーツ・25年
今週のタイ事業用不動産市場では、スワンナプーム空港の貨物インフラを巡る大型PPP案件が契約段階へ進んだ。タイ空港公社(AOT)とAOT Ground Aviation Services(AOTGA)は、第3事業者による貨物倉庫サービスについて正式にPPP契約を締結した。
このほか、工業団地内データセンターの実稼働状況や電力・水需要の具体的な数値が明らかになったほか、物流施設と商業施設のREITでも増資・新投資口上場が相次いだ。
今週の注目|AOT・AOTGA、スワンナプーム空港の第3貨物倉庫PPPを契約 事業総額379億バーツ・25年
2026年10月14日|Airports of Thailand
タイ空港公社(AOT)とAOT Ground Aviation Services(AOTGA)は、スワンナプーム空港で第3事業者として貨物倉庫サービスを運営するPPP契約を締結した。
実際の契約署名は10月8日に行われ、AOTが10月14日に公式発表した。
今回の貨物倉庫プロジェクトは、輸出入貨物、トランジット貨物、生鮮品、速達貨物、Eコマース貨物などを取り扱う新たな航空貨物施設を整備・運営するものだ。
事業総額は379億1,456万バーツ。このうち建物、設備、システムなどの整備費は13億1,838万バーツで、残る約365億9,618万バーツは25年間の運営・維持管理費となる。
このため、379億バーツ全額が貨物倉庫の建設費というわけではない点には注意が必要だ。
事業期間は25年。AOTによると、AOTGAは今後、貨物倉庫の建設と運営準備を進め、施設整備には約23カ月を要する見通しだ。
今回の契約は、9月8日にタイ政府がAOTGAの選定結果とPPP契約条件を承認したことを受けたもの。行政承認の段階から、実際の契約締結へ進んだ。
PPP方式では、AOT側が事業用地を提供・監督し、民間事業者であるAOTGAが資金調達、設計、建設、設備導入、運営・維持管理を担う。
スワンナプーム空港はタイ最大の航空貨物拠点であり、今回の新規施設は既存事業者に加わる「第3事業者」として貨物処理能力を拡大する。
製造業、電子部品、食品、Eコマースなどを含む在タイ企業にとっても、国際航空貨物の保管・積替えインフラが拡張される案件として注目される。
出所: Airports of Thailand / タイ政府
あわせて押さえたい3つの動き
01|IEAT、工業団地内データセンター22事業者 8事業者が稼働、申告電力2,100MW
2026年10月12日|Thansettakij
タイ工業団地公社(IEAT)が、工業団地内で進むデータセンター投資について、電力・水需要と実際の稼働状況を明らかにした。
現在、工業団地内への進出を申請しているデータセンター事業者は22事業者で、申告された電力需要は合計約2,100MW、水需要は1日約7万8,000㎥に達する。
一方、このうち実際に稼働しているのは8事業者で、現在の実使用量は電力約420MW、水約1万800㎥/日としている。
計画段階の需要と実際の稼働需要には大きな差があり、データセンター投資額だけでは把握しにくかった実際のインフラ使用規模が具体的な数字で示された。
IEATはさらに、データセンター向け工業団地の設計基準について、洪水対策を従来の10年確率から200年確率へ強化する案を検討している。
Buffer Zoneや貯留池などの設置も含めた基準案を作成しているが、現時点では正式に施行された規制ではない。
タイでデータセンター用地を検討する企業にとって、土地だけでなく受電容量、工業用水、浸水対策を含めたインフラ条件の確認がより重要になっている。
出所: Thansettakij / Bangkok Biz News
02|WHART、EEC物流施設向け増資を完了 新投資口1.28億口を10月12日に上場
2026年10月9日|SET
物流施設を中心に運用するWHARTは、第9回増資で発行した新投資口1億2,754万5,000口について、10月12日にタイ証券取引所(SET)で取引を開始した。
最終募集価格は1口10.60バーツ。9月から10月初旬にかけて行われた既存投資主および一般投資家向けの募集では、全口数の申込みが完了した。
今回の増資資金は、ラヨーン県マプタプットのEEC内にある「WGCL International Distribution Center(WGCL IDC)」への追加投資に使用する計画だ。
WGCL IDCはBuilt-to-Suit型の大型物流施設で、面積は約9万9,390㎡。投資予定額は最大25億760万バーツとなる。
施設には30年間の長期賃貸契約が設定されており、物流施設の開発・長期賃貸からREITへの資産組み入れというタイの物流不動産における資産循環モデルの一例となる。
なお、今回確定したのは増資募集の完了と新投資口の上場であり、WGCL IDCの資産取得完了とは区別して確認する必要がある。
03|ALLY REIT、商業施設3物件取得へ増資完了 1億5,150万口を4.60バーツで発行
2026年10月12日|SET
商業施設を中心に運用するALLY REITは、第2回増資で発行した新投資口1億5,150万口について、10月14日からSETで取引を開始した。
最終募集価格は1口4.60バーツで、今回の増資により投資口総数は8億7,410万口から10億2,560万口へ増加した。
調達資金は、バンコク首都圏の商業施設3物件への追加投資に充てる計画だ。
対象は「Charn At The Avenue(Chaeng Watthana)」「Saimai Avenue」「The Zone Town in Town」の3施設で、追加投資計画の総額は約15億1,500万バーツ。
ALLYはこれまで計画段階だった3商業施設の取得に向け、今回の増資募集完了と新投資口上場により資金調達を具体化した。
タイのREIT市場では物流施設だけでなく、コミュニティモールなど既存商業施設についてもREITを通じた資産取得・ポートフォリオ拡大が続いている。
なお、3物件の所有権・賃借権などの取得完了については、今回のSET発表とは別に確認する必要がある。

GDM編集部







