
タイ進出中国企業の不正事業【第3弾】:操業・投資の仮面をかぶった犯罪ネットワークの実態
違法労働・闇ローン・詐欺コールセンター・違法賭博サイトなどが次々と明るみに
2025年6月から7月にかけて、タイ各地において中国人関係者による違法行為が次々と摘発された。違法労働や詐欺、賭博運営など、さまざまな分野で中国人による組織的な不正が発覚しており、タイ当局は全国的な取締りを強化している。
中国系企業の不正操業も発覚
1. チョンブリーの工場で違法操業―電子廃棄物混入アルミ1,600トンを密輸
出典:The Nation
公開日:2025年5月23日
タイ工業省は、チョンブリーのフリーゾーン内で違法操業していた中国系「ゼロバーツ工場」を摘発。14人の未登録外国人労働者と、電子廃棄物混入のアルミスクラップ1,600トン以上が押収された。
2. ラヨーンの工場で隠し部屋に中国人22人を発見
出典:Bangkok Post
公開日:2025年6月12日
ラヨーン県の工業団地にある工場で、中国人22人が隠し部屋に潜伏していたところを摘発。全員が観光ビザで入国していたが、実際には工場で不法就労していた。
3. 中国資本の電子決済会社が名義貸しで違法運営、400百万バーツの資金移動
出典:Bangkok Post
公開日:2025年7月9日
警察はバンコクとその周辺にある10箇所の拠点を家宅捜索し、5つの中国資本の電子マネー会社を摘発。タイ人の名義を借りて違法に無許可で運営していた。オンライン決済プラットフォームは、資金洗浄など違法行為にも関与し、総取引額は4億バーツに達していた。
各地で相次ぐ中国人関係者の違法行為
4. パタヤ中心部の高級ビルが違法エンタメ施設に―40人以上逮捕
出典:The Nation
公開日:2025年6月17日
入国管理局はパタヤ中心部の8階建て高級ビルに踏み込み、違法カジノ、売春斡旋、詐欺コールセンターが組み合わさった大規模なエンターテインメント複合施設を摘発した。中国人およびタイ人の容疑者40人以上が逮捕され、多数の証拠が押収された。
5. 学生ビザを悪用し違法オンライン賭博サイトを運営―清邁で中国人3人逮捕
出典:Travel and Tour World
公開日:2025年6月18日
チェンマイの高級住宅で中国人男性3人(29〜30歳)が学生ビザで1年以上滞在していたが、大学に通うことなく「GO 1818」という違法オンライン賭博サイトを運営していたことが判明。中国本土の顧客を対象にしており、月間1,000万バーツ以上の資金が動いていた。
6. パタヤで闇ローン組織摘発―中国人25人逮捕
出典:The Pattaya News
公開日:2025年6月19日
パタヤ警察は、観光ビザで滞在していた中国人24人と女性1人を逮捕。中国国内に違法に貸付を行うローンシンジケートを運営していたとみられる。1人はビザ期限を5年以上超過して滞在していた。
7. パタヤ・ラヨーンで違法労働の中国人23人を摘発
出典:ASEAN NOW
公開日:2025年6月19日
観光警察は、観光ビザで入国しながら建設現場で不法就労していた中国人23人をパタヤとラヨーンで摘発。1人あたり月2〜4万バーツを得ていたが、就労許可は持っていなかった。
8. チェンマイの高級住宅が詐欺拠点に―中国人15人逮捕
出典:Bangkok Post
公開日:2025年7月1日
タイ警察はチェンマイの高級住宅を急襲し、詐欺コールセンターを運営していた中国人15人を逮捕。住宅はタイ人名義で購入され、中国人が中国国内の被害者を狙ったオンライン詐欺拠点として使用していた。
編集後記
今回の一連の摘発は、タイ国内における中国系ネットワークによる不法行為の広がりと、その巧妙化を浮き彫りにした。観光・学生ビザの悪用、タイ人名義の利用、隠し部屋の存在など、既存の規制では見抜きにくい違法手法が目立つ。タイ当局は今後さらに国境管理や事業ライセンスの審査を強化するとみられる。

GDM編集部