
2025年版|タイへの外国企業投資動向:BOI認可で中国企業が日系を凌駕
2025年6月時点:日系企業の動向と中国企業の台頭
中国人労働者数が急増、日本人を大幅に上回る
タイ国内での就業許可証保持者数を見ると、2022年を境に中国人が日本人を逆転し、その差は年々拡大。2025年4月時点では、中国人労働者は46,186人と、日本人(21,681人)の2倍以上に達しており、アメリカ・台湾・ドイツを大きく引き離している。
BOI認可数:日系企業は2位キープも、中国企業が首位に
2024年〜2025年Q1までのBOI認可件数を国別で見ると、中国が718件(34.6%)で首位、日本は356件(17.1%)で2位という結果に。ASEAN諸国、ヨーロッパ諸国、台湾、香港などが続く構図となっている。
投資件数の推移:日本は横ばい、中国は急伸
年別の推移を見ると、日本企業のBOI認可件数は2022年以降300件前後で推移している一方で、中国企業は2022年の215件から、2025年予測値で648件へと急増。特に2023年以降の加速が顕著である。
投資金額でも中国が日本を逆転
投資金額ベースでも、中国の台頭は明確だ。2024年には中国が160,643百万バーツを記録し、日本(69,933百万バーツ)を大きく上回る。2025年予測でも中国は162,376百万バーツと高水準を維持、日本は減少傾向にある(26,704百万バーツ)。
おわりに
中国企業の台頭は明らかで、数量・金額ともに日本企業の2倍以上となっている点は無視できない。これに対し、日系企業は安定した投資活動を継続しているものの、BOI制度の戦略的活用やタイ国内での存在感の再構築が問われる時期に差し掛かっているといえるだろう。
このまま中国企業の存在感が拡大すれば、タイにおける産業構造やサプライチェーンの主導権も再編される可能性がある。日本企業にとっては、従来の信頼関係や技術力を活かしつつ、新興分野やタイの政策ニーズに即したアプローチへの転換が求められる局面にある。

GDM編集部