
中国大手冷蔵庫企業「Homa」子会社、チョンブリー県で2工場のBOI認可を取得
中国の大手冷蔵庫輸出企業の子会社であるHoma Appliances(Thailand) Co., Ltd.は、タイ投資委員会(BOI)からチョンブリー県における2つの製造工場設立の認可を受けた。総投資額は29億6,000万バーツに上る。
Homa Appliancesは、輸出向けOEM/ODMメーカーとして世界各国の有名ブランドに製品を供給するとともに、自社ブランドの展開も行っている。2002年に設立され、冷蔵庫およびチェストフリーザー分野において複数の工場を保有し、年間生産能力は数千万台規模に達するとされている。
プロジェクト概要
新設される2工場のうち、
・1つはスマート冷蔵庫の製造を行う。
・もう1つはEUの省エネ基準に準拠した冷凍庫を生産する予定である。
両工場を合わせた年間生産能力は170万台を超え、スマート冷蔵庫、高効率冷蔵庫、チェストフリーザーなどを網羅する大規模な体制となる。
Homa社は、部品構成の50〜60%以上をタイ国内調達とすることで地域経済への貢献を図る方針であり、両工場の生産品はすべて輸出に充てられる。これにより年間120億バーツ超の輸出収益を見込む。また、操業開始後はエンジニアや作業員を中心に約3,000人の雇用創出が期待されている。
タイは現在、サムスン、LG、エレクトロラックス、日立、さらに中国系の美的(Midea)、ハイアール(Haier)、ハイセンス(Hisense)など、世界的家電メーカーが集積する東南アジア有数の電気・電子機器製造拠点である。
Homa社は、中国系メーカーとしてタイに投資する4社目となり、同国のインフラ整備、熟練労働力、サプライチェーン体制、政府の支援策に対する信頼を裏付ける動きとなった。
BOI優遇措置が牽引する電子産業への投資拡大
タイ政府は2021年以降、電子産業を戦略的重点分野に位置付け、投資誘致を強化してきた。タイ投資委員会(BOI)の発表によると、2023年の電子・電気機器産業分野の投資申請件数は前年比240.6%増の2,699億9,000万バーツに達した。
このうち93.3%がスマートエレクトロニクス分野への投資であり、半導体、集積回路、ハードディスクドライブ、エアコンなどを含む。同分野への投資額は254.4%増の2,519億8,000万バーツに急伸した。
この投資拡大により、タイ国内のサプライチェーンは一層強化され、上流製造能力の向上が進んだ。これにより、電気自動車(EV)、データセンター、先端医療など、政府が重点産業として推進する高付加価値分野の発展にも寄与している。

GDM編集部