
タイ政府、EV輸出促進へ優遇策を強化〜EVハブ実現に向け「EV3/EV3.5制度」を改正
目次
タイ国家電気自動車政策委員会(EVボード)は、電気自動車(EV)の輸出を促進し、東南アジア地域におけるEV生産拠点としての地位をさらに確立することを目的に、EV3およびEV3.5インセンティブ制度の主要改正を承認した。
輸出車両に「1.5倍」のカウント優遇、生産義務の緩和で輸出を後押し
今回の改正により、2022年に開始されたEV補助金制度で導入された「輸入車に対する国内生産義務」の算定方式が見直された。今後は、輸出目的で製造されたBEV(バッテリー式電気自動車)1台を、1.5台分としてカウントできる。
この措置はタイ工業連盟(FTI)の提案によるもので、政府はこの優遇を通じて企業に対し輸出を促す狙いだ。政府は、この制度により2025年には約12,500台、2026年には最大52,000台のBEVが輸出されると見込んでいる。
国内登録期限も延長、補助金支給の実効性も向上へ
あわせてEVボードは、国内向けの登録期限を1ヶ月延長したほか、補助金支給プロセスについても効率化に向けた強化策を導入した。これにより、企業にとっての制度利用のハードルがさらに下がり、EV普及を後押しすると期待される。
BEVの登録が急増、2025年上半期は57,000台超
タイ国内でのEV普及も加速している。2025年上半期には、BEV乗用車が57,289台新規登録され、前年同期比で52.4%増加。これは新車登録全体の15%を占める水準だ。
また、2024年通年では70,582台が登録されており、現在タイ国内で走行中のBEV乗用車は約20.3万台にのぼる。
そのほかの電動車両の普及状況は以下のとおり:
・電動バイク:71,900台
・電動バス・トラック:3,800台
・電動トゥクトゥク:1,000台
充電インフラも急速拡大、DC急速充電器は6,500基超に
EVインフラ面でも大きな進展が見られる。2025年3月時点で全国に3,720カ所の充電ステーションが整備されており、充電器の総数は11,622基に到達。うち6,524基はDC急速充電器で、当初予想を約48%上回った。
こうしたインフラの拡充は、タイ政府が掲げる「EV製造・輸出大国」を目指す戦略の一環であり、その実現に向けた本気度を示すものだ。
EVサプライチェーンへの投資総額、1,377億バーツに
BOI(タイ投資委員会)の報告によると、EV関連サプライチェーンに対する累計投資承認額は1,377億バーツに達している。
出典:

GDM編集部