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タイ不動産記事Thai Real Estate Article

工業系不動産から見たタイ進出と撤退

2024/11/01
 カテゴリ:

タイの基本情報と工業系不動産市場

タイは東南アジアの中心に位置し、経済的な強みと地理的な優位性から、貿易や投資のハブとして発展してきました。国際的なサプライチェーンの多様化が進む中、タイの工業系不動産市場は引き続き成長が期待されており、今後さらに多くの企業が参入する見通しです。

ここでは、タイの基本情報を押さえつつ、現地工業不動産市場の特徴を深掘りしていきます。


タイの基本情報

タイの人口はおよそ7,000万人で、その中心都市であるバンコクは政治と経済の中枢を担っています。タイ語が公用語ですが、ビジネスシーンでは英語が広く使用され、特に工業団地や商業地域では英語対応も一般的です。仏教を基盤とした穏やかな文化背景もあり、タイは外国人にとって親しみやすい国として知られています。このような環境が多くの企業にとって魅力的で、進出しやすい要因となっています。

経済的には、タイはASEAN(東南アジア諸国連合)の一員で、インドネシアに次ぐ経済規模を持ちます。2022年のGDPは約5,400億ドルで、その中核を製造業が担っています。自動車、電機・電子機器、農産物加工など、タイの主要産業はASEAN地域全体でも重要な役割を果たしています。


タイの工業系不動産市場の現状

タイの工業系不動産市場は、製造業の発展とともに成長を続けてきました。特にバンコク近郊や、タイ政府が積極的に支援する経済特区「東部経済回廊(EEC)」が工業不動産の主要エリアとなっています。EECにはチャチューンサオ県、チョンブリ県、ラヨーン県が含まれ、タイの重要戦略拠点として位置づけられています。このエリアでは、外国企業向けの優遇措置や税制上のメリットが提供されており、工業団地や物流施設への需要が高まっています。

2022年以降、COVID-19パンデミックの影響で一時的に投資活動は減速しましたが、以降は回復基調にあります。特に、電気自動車や電機・電子機器産業に関連する工場用地への需要が増加し、賃貸市場も再び活発化しています。サプライチェーンの多様化を図る企業のタイ進出も増えており、工業系不動産市場にはさらなる成長が見込まれています。

タイの工業団地では土地の購入や長期賃貸が一般的で、多くの外国企業が参入しています。特に2018年以降、中国企業の進出も目立つようになりました。インフラの整備度が高く、港湾や空港、主要道路へのアクセスも良好なため、タイの工業系不動産市場は企業にとってスムーズな事業展開が可能な投資先です。


タイ進出企業にとってのメリット

タイは、進出企業にとって多くのメリットがある国です。ASEAN地域の中でも特に参入しやすい市場と言えるでしょう。

  • インフラの充実度と安定した供給体制
    他のASEAN諸国と比較しても、タイはインフラが非常に整備されており、電力や水道、通信インフラの安定供給が特徴です。これにより、製造業や物流業にとって安定した事業運営が可能となり、企業の生産効率を向上させることができます。

  • 許認可システムの効率化と改善
    タイ政府は許認可システムの効率化に取り組んでおり、企業が事業を始める際の手続きがスムーズになっています。これにより、他国と比較しても迅速にビジネスを開始できる点が進出企業にとって魅力的です。

  • 充実したサポート体制
    タイ投資委員会(BOI)やタイ工業団地公社(IEAT)といった組織が、外国企業のタイ進出を支援する体制を整えています。これらの組織は税制優遇や投資手続きサポート、ワンストップサービスでの許可申請など、多面的な支援を提供しており、企業にとって大きな助けとなります。


タイの工業系不動産市場の課題

一方で、環境規制の強化や都市計画の厳格化といった課題も生じています。タイ政府は持続可能な開発を推進しており、工業団地や工場に対する環境規制が強化されています。これにより、環境負荷の低い生産活動やエネルギー効率の向上が求められ、企業はこれに対応するための準備が必要です。

また、都市化が進む中で工業団地の開発に対する規制が厳格化されており、適切な用地の確保が難しくなってきています。事前のリサーチが欠かせず、事業認可の取得が難航するケースもあるため、戦略的な計画が求められます。


まとめ

タイの工業系不動産市場は、製造業を中心に多くの企業にとって魅力的な投資先です。パンデミック後の経済回復や、新たなサプライチェーン戦略の影響もあり、バンコク近郊やEECエリアを中心に市場の成長が期待されています。ただし、環境規制や都市開発の変化による新たな課題もあるため、タイ進出を検討する際には慎重な計画と戦略が必要です。

次回は、タイの投資環境や進出の具体的な手法についてさらに詳しく解説していきます。

高尾 博紀プロフィール写真
GDM (Thailand) Co., Ltd.
代表取締役社長
高尾 博紀

早稲田大学商学部卒業。2008年来タイ。ホテル・オフィス用地や工場倉庫用地及びホテルやオフィス、商業施設などの事業用不動産売買に強みを持つ。タイ国内において1,500,000㎡を超える不動産取引実績を有し、企業の不動産取得支援を行っている。



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