
中国の欣旺達(Sunwoda)、5,000億バーツを投資しタイ初の大型バッテリーセル工場設立へ
2025年3月14日、タイ投資委員会(BOI)は、中国の大手バッテリーメーカーで世界トップ10に入る「欣旺達(Sunwoda Automotive Energy Technology)」に対し、総額5,000億バーツの投資を認可した。
同社はタイ・チョンブリー県に、同国初となる大型バッテリーセルの生産工場を設立する。これにより、電気自動車(EV)およびクリーンエネルギー産業のサプライチェーン強化が期待される。
タイ最大規模のバッテリー生産拠点を設立
ナリット・テーサティーラサックBOI長官は、2025年3月13日に開催された「国家競争力強化政策委員会」において、欣旺達(Sunwoda)のタイ法人「Sunwoda Automotive Energy Technology (Thailand) Co., Ltd.」の投資計画が承認されたと発表した。本プロジェクトは、中国国外におけるSunwodaグループ最大のバッテリーセル製造拠点となる見込みだ。
チョンブリー県内に2つの工場が建設され(内1つはWHAイースタンシーボード工業団地)、4,000人以上のタイ人雇用が創出される予定。そのうち約900人はエンジニアや研究者となり、2025年内に生産ライン稼働開始を目指す。
また、同社はEV普及に伴う使用済みバッテリーのリサイクル事業についても、タイ国内での展開を検討している。
グローバル市場を見据えた戦略的投資
Sunwodaは2024年4月にタイ法人を設立し、本社は中国・深圳に所在する。同社は、電子機器および電気自動車向けバッテリーの分野で世界的に有名であり、特に子会社SEVBは、中国国内でハイブリッド車(HEV)用バッテリー販売シェア1位、ハイエンドEV用バッテリー製造で3位の地位を確立している。
今回の投資は、EVおよびエネルギー貯蔵システム(ESS)向けのバッテリーセルをタイで生産し、国内外市場に供給することを目的とする。BEV、PHEV、HEVといった多様なEVメーカーや、クリーンエネルギー需要の急拡大に対応する。
先端技術を活用したスマート工場
タイの新工場は、「バーチャルファクトリー」技術を導入し、製造工程のデジタル管理とシミュレーションを実現。さらに自動化(オートメーション)を進め、コスト削減と生産性向上を図る。研究開発への継続的な投資も実施し、技術革新を推進する。
4,000人超のタイ人スタッフに対してバッテリー技術のトレーニングを行うとともに、技術系・職業系学生600人以上を対象にした研修・採用プログラムも計画。また、国内の教育機関と連携し、9件以上の研究開発プロジェクトを推進し、年間20億バーツ以上の原材料・部品を国内調達することで、タイ企業のグローバルサプライチェーン参入を後押しする。
ナリット長官は、「バッテリーはEVおよびエネルギー貯蔵システムの中核であり、Sunwodaの投資はタイのサプライチェーンを強化し、競争力を高める重要な一歩だ。これにより、タイはEVおよびクリーンエネルギー分野における地域の生産拠点となる」と述べた。
バッテリー産業振興の加速
過去5年間で、BOIは41社・48件のバッテリー関連投資案件を促進し、総投資額は2,725億7,000万バーツに達した。今回のSunwodaプロジェクトは、タイで初となる大型バッテリーセル生産工場であり、タイのクリーンエネルギー産業をさらに前進させることが期待される。
souce:https://techsauce.co/news/boi-approves-sunwoda-to-invest-50-billion-baht-in-ev-battery-cell-plants

GDM編集部