タイBOI投資申請、2026年第1四半期に1兆バーツ突破
データセンター・AI関連投資が牽引

タイ投資委員会(BOI)は、2026年第1四半期の投資奨励申請額が1兆1,696.2億バーツに達したと発表した。申請件数は624件で、投資額は前年同期比で約2.4倍に拡大した。世界的なサプライチェーン再編やAI需要の高まりを背景に、タイが次世代産業の投資先として存在感を強めている。
特に投資額を押し上げたのは、データセンターやクラウドサービスを中心とするデジタル産業である。BOIによると、デジタル産業の投資申請額は8,737.41億バーツ、申請件数は48件に達した。主な投資案件には、シンガポール、日本、英国、マレーシアなどの企業によるデータセンター・クラウドサービス関連プロジェクトが含まれる。
また、電子・電気機器産業も投資額404.56億バーツ、申請件数80件となり、AIデータセンター向けのHDD、光通信部品、サーバー関連部品、PCBなどの高付加価値製造が投資を支えた。BOIは、デジタル産業と電子産業の拡大が、タイを地域のデジタルインフラおよびAI関連サプライチェーンの拠点へ押し上げる動きだとしている。
産業用不動産需要にも波及か

事業用不動産の観点では、今回の発表は単なる投資額の増加にとどまらない。データセンターは、一般的な工場や倉庫と異なり、大規模かつ安定した電力供給、冷却設備、通信インフラ、災害リスクの低い立地、強固な建物仕様などを必要とする。そのため、今後の産業用不動産市場では、従来重視されてきた土地価格、港湾・空港アクセス、高速道路への接続性に加え、電力容量や通信インフラを含めた立地評価がより重要になるとみられる。
さらに、データセンター本体の建設だけでなく、関連する電子部品、サーバー機器、冷却設備、電力設備、メンテナンス関連サービスなどの周辺産業にも波及効果が見込まれる。これにより、工業団地、大型用地、物流施設、サプライヤー向け倉庫などへの需要が中長期的に高まる可能性がある。
BOIは今回の投資動向について、タイが従来型の製造拠点から、デジタル、AI、電子、クリーンエネルギーなどを含む「未来産業」の投資拠点へ移行しつつあることを示すものだとしている。第1四半期には、エネルギー・公共インフラ分野で171.03億バーツ、農業・食品分野で169.63億バーツの投資申請もあり、デジタル分野以外でも産業基盤の高度化が進んでいる。
日本企業への影響
日本企業にとっても、この流れは重要である。タイの投資環境は、従来の自動車、電子部品、食品加工といった製造業中心の構造から、AI・クラウド・データセンターを含む高付加価値産業へ広がっている。今後、タイで工場、倉庫、研究開発拠点、データ関連施設を検討する企業にとっては、土地や賃料だけでなく、電力、通信、BCP、サプライチェーン、BOI恩典を含めた総合的な立地戦略が求められる。
タイがアジアのデジタル・産業インフラ拠点として成長するなか、事業用不動産市場においても、単なる「場所の確保」から、産業特性に合わせた「インフラ適合型の立地選定」へとニーズが変化していく可能性が高い。
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GDM編集部






