日系・東京建物、チョンブリで物流施設・賃貸工場を複合開発
タイの工業・物流不動産で、日系デベロッパーによる新たな投資が動いている。東京建物は、チョンブリ県で物流施設と賃貸工場を組み合わせた「SCX Logistics Laemchabang 2」に参画。東京建物にとって海外初の賃貸工場開発となる。
このほか今週は、タイの賃貸倉庫稼働率が90%を突破。データセンターでは0.5MW以上の施設を対象とする登録制度の整備が進み、不動産投資ではAWCがホテル・オフィス5資産を組み入れる大型REIT計画を具体化した。
今週の注目|日系・東京建物、チョンブリで物流施設・賃貸工場を複合開発
2026年9月25日|東京建物
東京建物は、タイ現地法人Tokyo Tatemono (Thailand)を通じ、チョンブリ県で物流施設と賃貸工場を組み合わせた「SCX Logistics Laemchabang 2」に参画した。
タイ大手デベロッパーSC Assetの子会社SCX Corporationとの共同事業で、東京建物にとって海外初の賃貸工場開発となる。
開発地はEEC(東部経済回廊)内に位置し、タイ最大の国際貿易港であるレムチャバン港から約7km。敷地面積は約7万3,612㎡、延床面積は3棟合計で約4万1,652㎡。2027年5月の竣工を予定している。
施設の約60%を賃貸工場、約40%を物流施設として開発する。
具体的には、賃貸工場2棟で約2万5,056㎡、倉庫1棟で約1万6,596㎡を整備する。工場と倉庫の双方にフリーゾーン機能を設け、輸出型製造企業の需要を取り込む計画だ。
東京建物は2024年にもタイで2件の物流施設開発に参画している。同社によると、いずれも竣工後、早期に高い稼働率を実現している。
今回、物流施設だけでなく賃貸工場へ事業領域を広げる背景には、EECで製造業の進出が続いていることがある。
半導体やEV関連を含む製造企業の進出に伴い、輸出入貨物や部品を保管する倉庫に加え、土地取得や自社工場建設より短期間で操業を開始できる賃貸工場への需要も高まっている。
特に新規進出企業にとって、土地を購入して工場を一から建設する場合は、用地取得、設計、建設、許認可などに時間がかかる。
一方、賃貸工場であれば初期投資を抑えながら、比較的短期間で生産を開始できる。レムチャバン港に近く、フリーゾーンにも対応する今回の施設は、輸出型製造企業にとって新たな選択肢となりそうだ。
東京建物はタイで住宅、オフィス、物流施設、ホテルなどの開発を進めており、今回の案件を含め累計15プロジェクトに参画している。
日系デベロッパーがタイの物流不動産から、さらに製造業向けの賃貸工場へ事業領域を広げる動きとして注目される。
出所: 東京建物株式会社
あわせて押さえたい3つの動き
01|タイ倉庫市場、稼働率90%超へ 物流需要拡大で42万㎡超の新規供給
2026年9月24日|Knight Frank Thailand、TerraBKK
タイのReady-built Warehouse(賃貸型完成倉庫)市場で、2026年上半期の全国平均稼働率が90.2%に上昇した。
TerraBKKが報じたKnight Frank Thailandの市場データによると、全国の倉庫供給面積は2025年末の約662万㎡から約669万㎡へ増加。一方、賃貸済み面積は約604万㎡となり、需要の伸びが供給増を上回った。
純吸収面積(Net Absorption)は14万7,946㎡で、前年同期の2万335㎡から7倍以上に拡大した。
地域別では、バンコク首都圏の稼働率が94.0%、EECが85.1%、中部地域が92.1%。平均賃料は全国で月額163.1バーツ/㎡、EECでは165.2バーツ/㎡となった。
今後は2026年下半期に13万1,582㎡、2027年以降に29万4,853㎡が完成する予定で、将来供給は合計42万6,435㎡に上る。
新規供給のうち8割超がバンコク首都圏とEECに集中する。物流需要が拡大するなか、主要物流エリアでは今後も倉庫開発が続く見通しだ。
出所: Knight Frank Thailand / TerraBKK
02|タイ、0.5MW以上のデータセンターを登録対象へ 立地・建物基準も策定
2026年9月29日|Bangkok Biz News
タイのデータセンター政策委員会は、電力負荷が0.5MW以上のデータセンターについて、デジタル経済社会省(DE)への情報登録対象とする方針を示した。
Bangkok Biz Newsによると、政府が国内のデータセンターの規模や立地などを把握し、今後の政策やインフラ整備に活用することが目的となる。
同時に、データセンター向けのインフラ、土地利用・都市計画、建物、環境などについても最低基準の策定を進めている。
タイではデータセンターへの大型投資が相次いでいる一方、急増する電力需要や水使用量、立地地域への影響が課題になっている。
これまでデータセンター投資ではBOIの投資認可額が注目されることが多かったが、今後は「どの場所に、どの条件で建設できるか」という不動産・インフラ面の条件がより重要になる。
なお、具体的な登録手続きや各種最低基準については制度整備が進められている段階であり、今後の正式な規則・ガイドラインを確認する必要がある。
出所: Bangkok Biz News
03|AWC、ホテル・オフィス5資産をAWR REITへ 300億バーツ超のIPO計画
2026年9月25~29日|AWC、SET、Nation Thailand
タイ大手不動産会社Asset World Corp(AWC)が、新たな不動産投資信託「AWR REIT」の設立計画を具体化している。
初期資産としてホテル4物件とGrade Aオフィス「The Empire」の計5資産を組み入れる計画で、最低売却価格は合計484億4,900万バーツとなる。
対象となるホテルはBanyan Tree Samui、Banyan Tree Krabi、Meliá Koh Samui、Pattaya Marriott Resortの4物件。これにバンコク・サトーンの大型オフィスThe Empireを加える。
Nation Thailandによると、AWCはAWR REITのIPOで300億バーツ超を調達する計画で、自社でも最大28%の投資口を保有する方針だ。さらに将来の組み入れ候補として9資産を検討している。
今回の仕組みでは、AWCが開発・運営して価値を高めた不動産をREITへ移管し、回収した資金を新たな開発へ再投資する。
いわゆる「Asset Recycling」を大規模に進める形だ。
AWCは8月時点ではREIT設立を検討する段階だったが、9月25日に対象となる初期5資産と最低売却価格を正式承認した。
ただし、現時点では資産売却やIPOが完了したわけではない。今後の手続きや市場環境によって内容が変更される可能性がある。
タイのREITでは工場・倉庫を中心とする資産移管も多いなか、今回は高級ホテルと大型オフィスを組み合わせた大型案件として注目される。
出所: Nation Thailand / Asset World Corp

GDM編集部







