タイ、ハイテク分野で1,300億バーツ超の大型投資を承認――グーグル、PCB世界最大手らが進出
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タイが東南アジアにおけるハイテク・デジタル産業の要衝として、急速にその存在感を強めている。台湾のプリント基板(PCB)世界最大手による巨額投資に加え、米グーグル(Google)のデータセンター進出、さらにはウエスタンデジタル(Western Digital)の生産拡張など、タイ政府が主導する投資誘致策が大きな実を結んでいる。
これら一連のプロジェクトによる投資総額は1,300億バーツ(約5,900億円)を超え、タイ経済を次なるステージへと押し上げる原動力となる。本稿では、タイを「世界の工場・デジタル拠点」へと変貌させる主要な投資案件について詳しく解説する。
1. 台湾Zhen Dingとサハの共同投資:タイを「世界のPCBハブ」へ

プリント基板(PCB)で世界シェア首位を誇る台湾の臻鼎科技(Zhen Ding Tech Group)が、タイの大手財閥サハ・グループ(Saha Group)と組み、総額約650億バーツを投じる大規模な合弁プロジェクトを始動させた。
戦略的背景: 米中対立の長期化を受けた「チャイナ・プラス・ワン」戦略の一環であり、中国以外での主要生産拠点としてタイを選択した。
生産内容: AIサーバー、データセンター、電気自動車(EV)向けの高密度相互接続(HDI)基板など、高付加価値製品に特化する。
稼働予定: 2025年半ばにプラチンブリ県の工業団地で第1フェーズの操業を開始する見通しだ。
2. 米グーグル:タイ初のデータセンター建設に327億バーツ

タイ投資委員会(BOI)は、グーグルの子会社であるクォーツ・コンピューティング(Quartz Computing)によるデータセンターおよびクラウドリージョン建設プロジェクトを承認した。
投資規模: 約327億6,000万バーツ
拠点: チョンブリ県にデータセンターを、バンコクにクラウドリージョンを設置する。
意義: グーグルにとってタイ初の本格的なインフラ投資であり、ASEAN地域で急拡大するクラウド需要の取り込みを狙う。2027年初頭の本格稼働を目指しており、国内のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を劇的に加速させる。
3. ウエスタンデジタル:HDD生産能力を235億バーツで拡張

世界的なストレージ大手、ウエスタンデジタル(Western Digital)も、AI市場の拡大を見据えた大幅な増産体制に入る。
投資内容: 約235億バーツを投じ、アユタヤ県およびプラチンブリ県の既存工場の生産ラインを拡張する。
背景: AIやデータセンターの普及に伴い、大容量ハードディスクドライブ(HDD)の需要が急増。最新技術を用いたHDDの生産能力を高めることで、タイを世界最大のHDD生産拠点の一つとして維持・強化する狙いだ。
加速する「デジタル・デスティネーション」化
BOI長官は、これらの大型案件の承認について「タイのインフラと経済ポテンシャルに対するグローバル企業の強い信頼の証」と評している。
かつて「アジアのデトロイト」と呼ばれ自動車産業で栄えたタイは今、PCB(ハードウェア)、HDD(ストレージ)、そしてデータセンター(インフラ)という「デジタル経済の三種の神器」を揃えつつある。政府の積極的な税制優遇と地政学的な優位性を武器に、タイは周辺国との誘致競争において一歩抜きん出た形だ。
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GDM編集部







