BOI、承認迅速化のため『Thailand FastPass』を発表
十億バーツ超えの重点投資プロジェクトで承認手続きを加速
Board of Investment(BOI=タイ投資委員会)は、数十億バーツ規模の投資プロジェクトを対象に、承認プロセスを大幅に短縮する新制度「Thailand FastPass」を導入した。
この制度は、政府が掲げる「Quick Big Win」政策を支援するもので、早期に経済効果を発揮しうるプロジェクトを優先的に扱う枠組みである。
BOIの書記長、Narit Therdsteerasukdi氏は、FastPassは投資環境を強化し、より多くの投資を呼び込む重要な手段になると述べた。
対象となるのは、少なくとも十億バーツ(約45億円)以上の新規投資プロジェクトで、デジタル・AI技術、半導体・電子、ロボット・自動化、自動車、バイオテクノロジーなどの重点産業が挙げられている。
さらに、BOIはプロジェクト承認だけでなく、長期滞在ビザ・就労許可、工場用地取得、電力インフラ整備など、投資時に障壁になり得る手続きを一元的に支援する特別パネルを設置する意向を示している。
また、2023~24年にかけて約3000億バーツ規模の案件(主にデータセンター・電子・発電分野)がBOIからインセンティブを得たものの、未だ着手していないものがあると指摘しており、こうした「停滞案件」を動かす契機にもなりうる。
今後、FastPass制度による迅速承認がどこまで実効を伴うかが注目される。政府機関間の調整、土地・インフラ・人材確保など、現実の投資環境整備がカギとなる。
投資加速化措置

2023〜2024年に承認を受けた投資プロジェクトの進捗をモニタリング・促進し、迅速に実行へ移す。(70件以上のプロジェクト、総投資額 3,000億バーツ超)
目的
・戦略的投資プロジェクトを加速的に進め、実施をスピーディーに促す。
・「承認」から「投資実行」までの時間を短縮し、経済を早期に刺激する。
・技術的支援や障害の除去により、円滑なプロジェクト推進を支援する。
短期的な取り組み
・進行中のプロジェクトを加速させ、以下の課題を解決する。
・各種許認可の遅れの解消
・公共インフラ・ユーティリティ関連の手続き迅速化
・建設・操業許可などの期間短縮
・特定の大規模投資案件に対して、ボトルネックや障害を取り除く。
中期的な取り組み
Thailand FastPass制度 を導入し、重要プロジェクトの推進を迅速化。
主な施策:
・重要プロジェクトの優先順位づけ
・許認可申請の審査時間短縮(SLAの明確化)
・投資家へのサービスレベルを向上させる体制整備
対象となる投資案件
・重点産業(AI、半導体、ロボット、自動車、バイオテクなど)に該当
・投資額が 10億バーツ以上 の大規模プロジェクト
・国家経済に波及効果の高い事業
・投資準備が整い、すぐに着手可能なプロジェクト
出所:Board of Investment launches FastPass to expedite approvals

GDM編集部







