
中国系EVメーカー各社の直近動向─タイを拠点にさらに加速するASEAN戦略
タイが、電気自動車(EV)およびハイブリッド車の製造において、東南アジアの主要拠点として急速に台頭している。BYD、MG、GWMといった中国の大手自動車メーカー各社は、ASEAN域内および世界市場に向けた需要増に対応するため、タイ国内での生産能力を相次いで強化している。
BYD──EVのグローバル輸出拠点として生産拡大
電気自動車を中心とする新エネルギー車の世界的メーカーであるBYD(Build Your Dreams)は、タイでの製造事業を本格的に拡大中である。2024年第3四半期にWHAラヨーン36工業団地で稼働を開始した新工場では、今後2年以内に年間15万台の生産能力を確保する予定だ。
現在、BYD DOLPHIN、BYD ATTO 3、BYD SEALION 6 DM-i(プラグインハイブリッド)などの人気モデルの製造を開始しており、右ハンドル/左ハンドル両方に対応している。
2024年、BYDは年間427万台の新エネルギー車(EVおよびPHEV)を販売し、前年同期比で41.26%増を記録した。
2025年には、BYDがタイ工場で生産するSEALION 6 DM-iの輸出が開始される予定であり、タイを世界輸出拠点とする戦略の重要な一歩となる。
GWM──ラヨーン工場でEV・ハイブリッド生産強化
グレートウォールモーター(GWM)は、タイ・ラヨーン県にある自社工場の生産能力を2024年第2四半期から拡張し、国内需要および世界輸出の増加に対応する計画を発表した。
このラヨーン工場は年間最大8万台の生産能力を持ち、従業員数は1,100人以上。部品のうち45~50%はタイ国内調達でまかなわれている。現在、GWMの輸出先はマレーシア、インドネシア、ベトナム、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドなど多岐にわたる。
同工場はロシアに次ぐGWMの海外第二の完全生産拠点であり、同社はタイをグローバルな生産・輸出の中核として位置づけている。
MG──ハイブリッドとEVの二軸展開へ
MG(SAIC Motor–CP.の合弁ブランド)は、チョンブリー県のEastern Seaboard 2工業団地に位置する工場で年間最大10万台の生産能力を持つ。
現在、MG5、MG ZS(1.5Lガソリン車)、MG HS PHEVなどを生産しており、ベトナムとインドネシア向けに輸出している。2025年にはマレーシア市場への輸出も計画されている。
また、MGは今後のEV市場成長に向けて137.5ライ(約22ヘクタール)の敷地を新たに開発し、「ニューエネルギー産業パーク(New Energy Industrial Park)」として拡張を進めている。
出所:
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https://roadgenius.com/cars/ev/statistics/sales-by-automaker/byd/
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https://www.factorywarrantylist.com/great-wall-worldwide-sales.html

GDM編集部