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タイ不動産記事Thai Real Estate Article

タイで相次ぐ中国人・中国系事業者の違法・不正事件

2026/08/07
 カテゴリ:

違法就労、偽造品、越境詐欺から「偽装出生」まで

2026年5月から8月にかけ、タイ国内で中国人や中国系事業者、または中国と結びついた犯罪ネットワークが関係するとされる摘発が相次いでいる。

その内容は、不法入国・不法就労、違法賭博、無許可工場、偽造品販売、クレジットカード犯罪、出生登録制度の悪用、さらには軍用級武器の違法所持まで幅広い。

個々の事件の性質は異なるものの、タイの労働・事業許認可、企業登記、国籍・戸籍制度、国境管理などの「制度の隙間」が利用されているケースも目立つ。

1.中国の「税務逃亡者」をタイで拘束

8月6日、Bangkok Postは、中国の税務事件をめぐり逃亡していた中国人が拘束されたと報じた。

2.アユタヤの中国料理店を摘発 違法就労・地下麻雀・ノミニー疑惑

8月4日、アユタヤ県の中国料理店に対する当局の摘発で、違法就労や無許可の賭博が発覚した。

店内には秘密の麻雀部屋が設けられており、賭博に関して中国人5人が逮捕された。このうち1人は賭博の主催者、4人は参加者とされ、麻雀卓や牌、現金7,200バーツなどが押収された。

一連の捜査では計13人が逮捕されたと報じられているほか、店舗の事業運営をめぐってタイ人名義を利用した「ノミニー(名義貸し)」が存在しなかったかについても調査が進められている。

単なる違法賭博だけでなく、外国人による事業規制や就労規制を回避するための企業構造にまで捜査が及んでいる点が特徴的だ。

3.パタヤで軍用級武器を大量所持 中国人男性に約46年の禁錮刑

同じく8月4日、パタヤで大量の軍用級武器を違法に所持していた中国人男性に対し、裁判所が約46年の禁錮刑を言い渡した。

Thai PBS Worldによると、男性は大量の軍用級武器を所持した罪などについて有罪を認めていた。近年タイで摘発されている中国関連事件の中でも、武器犯罪という点で特に重大性の高い案件となっている。

4.ミンブリの倉庫から大量の偽造品 中国から輸入しネット販売か

7月29日、バンコク東部ミンブリの倉庫が摘発され、大量の偽造商品が押収された。

報道によると、商品は中国から輸入されたとみられ、オンライン上で大幅に値下げして販売されていた。Bangkok Postは「Thousands of fake products seized in Min Buri」と報じている。

中国からタイへの低価格商品の流入が急速に拡大する一方、正規輸入品だけでなく、知的財産権を侵害する商品がECを通じて流通するリスクも浮き彫りになっている。

5.中国人観光客1,200人のカード情報を不正取得 被害約3,000万バーツ

7月27日には、中国人男性1人とタイ人3人が、中国人観光客のクレジットカード情報を不正に取得した疑いで逮捕された。

捜査当局によると、バンコクやチェンマイの店舗を訪れた約1,200人の中国人客が被害に遭ったとされる。取得したカード情報をもとに偽造カードが作られ、被害額は約3,000万バーツに上ったとみられている。

外国人観光客を狙い、実店舗をカード情報収集の場として利用した組織的な金融犯罪だった可能性がある。

6.ミャンマーから不法入国した中国人12人、ターク県で逮捕

7月24日、タイ西部ターク県メーソートで、中国人12人が逮捕された。

12人はミャンマー側から不法にタイへ入国したとされ、その後、トウモロコシ畑に身を隠していたところを発見された。

タイ・ミャンマー国境周辺では、カンボジア国境と同様、オンライン詐欺や人身移送など越境犯罪との関連が疑われる外国人の摘発が続いており、タイ当局にとって国境管理が大きな課題となっている。

7.タイ人男性を「父親」に 中国人向け出生登録スキームを摘発

7月10日には、これまでとは性質の異なる事件が明らかになった。

タイ警察は、中国人女性にタイ国内で出産させ、タイ人男性に虚偽の父親申告をさせることで、子どもをタイ国籍者として登録していたとされるネットワークを摘発。病院の医療記録担当者と区役所職員が逮捕された。

中国では「タイでの出産パッケージ」として7万バーツで宣伝されていたとされ、警察が病院記録を調査したところ、中国人がタイ人男性を父親として出生登録したケースが164件確認された。

捜査当局は、一部の中国人顧客が、将来的に子どものタイ国籍を利用してタイ国内の土地や資産を保有することを目的としていた可能性も調べている。事件は資金洗浄事件の捜査を拡大する過程で発覚しており、警察は仲介者や行政関係者、利用者についても捜査を続けている。

外国人による土地所有を制限しているタイにおいて、国籍・出生登録という制度そのものが資産保有スキームに利用され得ることを示す事例として注目される。

8.サムットサコンで中国系「違法E-Waste工場」を摘発

5月30日、サムットサコン県で、中国人が運営していたとされる無許可の電子廃棄物(E-Waste)処理工場が摘発された。

工場では電子配線、金属片、電子廃棄物などが大量に保管され、ブルーシートなどで覆って外部から見えないようにしていたとされる。

さらに、この工場は2025年初めにも摘発され、操業停止を命じられていたにもかかわらず、その後、無許可で操業を再開していたことが判明した。

現場で確認された廃棄物などの量は推計約3,274立方メートル。県当局は工場に有効な操業許可がないことを確認し、廃棄物の成分分析も進めている。

中国から東南アジアへの廃棄物処理移転をめぐっては環境規制や許認可の徹底が重要となっており、地域住民への環境負荷という点でも看過できない問題だ。

9.チョンブリの中国系家具工場を摘発 外国人約150人を違法雇用

5月6日、チョンブリ県パナットニコム郡で、無許可操業していた家具工場が摘発された。

施設は約80ライの敷地に4棟の大型倉庫を持ち、中国人投資家が所有していたと報じられている。

工場では中国人やミャンマー人を中心とする外国人労働者約150人が確認されたが、有効な就労許可などを所持しておらず、多くが観光ビザで滞在していたほか、不法入国者も含まれていた。

工場側は建設許可を申請していたものの、生産活動を開始するための正式な認可を取得していなかった。外国人労働者約150人と中国人雇用主が逮捕されている。

中国企業によるタイ国内での製造拠点拡大が続くなか、投資そのものと、事業許可・労働許可を遵守しない事業者を切り分けて監督する必要性を改めて示した事例といえる。

10.カンボジアの詐欺拠点から逃走か 中国人8人をサケーオで拘束

5月3日、タイ東部サケーオ県で、中国人8人が不法入国の疑いで拘束された。

7人の男性と1人の女性からなるグループは、ミャンマー人1人とともに車で移動中に逮捕された。タイ人運転手は、グループをバンコクまで運ぶよう依頼されたと供述したという。

警察は、8人がカンボジア・ポイペトを拠点とする大規模詐欺ネットワークの上位メンバーだった可能性があり、カンボジア当局による詐欺拠点への摘発から逃れてタイへ入国したとみて調べている。

現時点で8人に正式に適用されているのはタイへの不法入国容疑で、オンライン詐欺やコールセンター犯罪への具体的な関与については引き続き捜査中である。

個人犯罪から「制度を利用する犯罪」へ

今回取り上げた10件は、武器所持やカード犯罪といった刑事事件から、不法就労、無許可操業、ノミニー、出生登録、国境をまたぐ詐欺ネットワークまで内容が大きく異なる。

一方、複数の事件を横断して見ると、単純な個人犯罪だけではなく、会社、店舗、工場、労働許可、企業登記、出生登録、国境移動といった正規の制度や経済活動の中に違法行為を組み込むケースが目立っている。

特にアユタヤの店舗ではノミニー構造まで捜査対象となり、出生登録事件では病院職員や行政職員の関与が疑われ、チョンブリの家具工場やサムットサコンのE-Waste工場では企業活動そのものの合法性が問われた。

また、カンボジアやミャンマーとの国境を経由する中国人の不法入国も確認されている。犯罪ネットワークが一国の中だけで完結せず、タイを逃亡先、中継地点、資金・事業活動の拠点として利用するリスクへの対応も、今後一層重要になるとみられる。

タイにとって中国からの投資や人的交流は経済的に重要である一方、外国人による事業活動の拡大に合わせ、企業登記、労働、環境、入国管理、資産保有といった各制度を横断した監督体制がこれまで以上に求められている。

※本稿は2026年5~8月に報道された10件の事例を整理したものであり、中国人全体や中国系企業全体の犯罪傾向を示す統計ではない。

GDM編集部
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