オリジン・ホテル、5年以内にホテル17軒・商業2拠点の新規開発へ 「資産回転型」モデルで投資加速
タイの不動産開発大手オリジン・プロパティー(Origin Property)傘下のホテル事業会社、オリジン・ホテル(Origin Hotel)は、2026年から2030年までの5カ年で、新たに17軒のホテルと2つの商業施設を開発する計画を明らかにした。
ジョイントベンチャー(JV)を活用した「開発・運営・売却(Develop-Operate-Sell)」モデルを軸に、年間約75億バーツ(約320億円)を投じ、観光需要の回復が著しいタイ国内での事業拡大を加速させる方針だ。
5カ年で4700室超を供給、地方主要都市へも展開

オリジン・ホテルのチャンチャイ・パンソパCEOによると、今回発表された17のホテルプロジェクトにより、計4,731室が市場に供給されることになる。開発エリアは首都バンコクやプーケットといった主要観光地に加え、東部経済回廊(EEC)エリア、さらにはコンケン、ウドンタニ、チェンマイといった地方の中核都市にも広がる予定だ。
開業スケジュールとしては、2028年に5軒(1,625室)、2029年に10軒(2,498室)、そして2030年に2軒(608室)の開業を見込んでいる。また、あわせて計画されている2つの商業施設(賃貸面積計5,960平方メートル)は、2027年の開業を目指す。
2025年には、改装を経て「モクシー(Moxy)」ブランドを冠するプーケットとチェンマイの2軒のホテルや、バンコク・サナムパオ地区のオフィスビル「オリジン・コンプレックス」の開業も控えており、攻勢を強めている。
「持たざる経営」へ:資産回転型モデルの採用
今回の投資計画における最大の特徴は、パートナー企業とのJVおよび「開発・運営・売却」モデルの採用にある。
チャンチャイCEOは、「JV形式を採用し、一部プロジェクトでは土地所有者と提携することで、我々の投資負担を大幅に軽減できる」と述べている。総投資額は年間150億バーツ規模となるが、パートナーからの出資により、同社の実質負担額はその半分の75億バーツ程度に抑えられる見通しだ。

同社はこの戦略に基づき、保有資産の売却も積極的に進めている。2025年第3四半期には「インターコンチネンタル・バンコク・スクンビット」をJVパートナーであるシーラボ・グループ(Ci:z Group)へ売却し8億バーツを確保。さらに先月には、日本の野村不動産とのJVで開発した「ステイブリッジ・スイーツ・バンコク・トンロー」を売却し、5億バーツの利益を得ている。
ホテル事業は資本集約的になりがちだが、開発した物件を適切なタイミングで売却し、その利益を次の開発へ再投資することで、増資や社債発行に過度に依存することなく成長を持続させる狙いがある。
2017年にホテル事業へ参入して以来、急速にその存在感を高めているオリジン・グループ。日系企業を含む多くのパートナーと連携しながら、タイのホスピタリティ産業における主要プレイヤーとしての地位を固めつつある。
Source: Origin plans 17 hotels, 2 retail projects – Bangkok Post

GDM編集部







