数字で見るタイ経済|投資認可額は急増、自動車販売も回復 一方で企業廃業は増加
本記事では2026年上半期タイ経済を、BOI投資、自動車、企業活動の3つの数字から見てみる。
BOI投資認可額、Q2だけで9,763億バーツ
2026年第2四半期のBOI投資認可額は9,762億5,400万バーツとなった。
第1四半期の3,301億3,200万バーツと合わせると、2026年上半期では1兆3,063億8,600万バーツに達する。
四半期別に見ると、その突出ぶりはより鮮明だ。

2025年第2四半期の3,218億バーツと比べても、2026年第2四半期は約3倍となっている。上半期累計でも前年同期の9,041億バーツから約45%増えた計算だ。
背景にはデータセンターなどの大型案件があり、単純に「タイ全体の投資が3倍になった」と解釈することはできない。それでも、BOI認可ベースで大型投資案件がタイに集中していることを示す数字としては注目に値する。
※なお、ここでいう「投資認可額」はBOIによるInvestment Promotion Approval(投資奨励認可)の金額であり、企業が実際に設備投資を完了した金額ではない。申請額や実投資額とも区別する必要がある。
出所:Thailand Board of Investment(BOI)
2026年Q1:https://osos.boi.go.th/TH/news/2384/
2026年上半期:https://osos.boi.go.th/TH/news/2430/
自動車販売は回復、生産は伸び悩む
タイの主要産業である自動車では、販売と生産で異なる動きが見られる。
2026年第2四半期の国内自動車販売は16万4,883台。2025年第2四半期の14万9,501台から約10%増えた。
2024年後半には四半期販売台数が13万台前後まで落ち込んでいたことを考えると、国内市場には回復の動きが見られる。

一方、生産台数は34万7,461台で、前年同期の37万3,659台から約7%減少した。
つまり、国内販売は回復しているものの、生産についてはまだ明確な拡大局面には入っていない。
タイ自動車産業では国内販売だけでなく輸出向け生産の影響も大きい。販売回復だけを見て「自動車産業全体が回復した」と判断するのは早く、今後は生産・輸出が追随するかがポイントとなる。
出所:Office of Industrial Economics(OIE)、Federation of Thai Industries(FTI) Automotive Industry Club
https://www.fti.or.th/News/list
新規法人は2.15万社、一方で廃業は3,788社
企業活動にも、強弱が混在している。
2026年第2四半期に新たに設立された法人は2万1,548社。前年同期の2万15社を上回った。
一方、廃業した法人は3,788社。前年同期の3,137社から増加している。

新規法人は前年同期比で約8%増えたが、廃業は約21%増えており、退出側の伸びの方が大きい。
ただし、タイの法人廃業は年末に集中する傾向があり、四半期ごとの単純比較には注意が必要だ。実際、2024年、2025年とも第4四半期には廃業件数が1万社を超えている。
そのため現時点では「タイ企業の倒産が急増している」と見るより、2026年上半期は新規設立が維持される一方、企業退出もやや増えていると捉えるのが適切だろう。
出所:Department of Business Development(DBD), Ministry of Commerce
https://secretary.prd.go.th/th/content/category/detail/id/9/iid/522894
投資の強さと、実体経済の温度差
3つの数字を並べると、2026年第2四半期の特徴が見えてくる。
BOI投資認可額:9,763億バーツ
自動車販売:16万4,883台
自動車生産:34万7,461台
新規法人:2万1,548社
法人廃業:3,788社
最も目立つのは、BOI投資認可額の急増だ。データセンターをはじめとする大型投資がタイへの投資額を押し上げている。
国内自動車販売にも改善が見られ、新規法人設立も前年同期を上回った。
その一方で、自動車生産は前年同期を下回り、法人廃業も増加している。
したがって、現在のタイ経済を「投資ブームによる全面的な回復」と評価するにはまだ早い。むしろ、
・大型投資は非常に強い
・国内需要の一部には改善が見られる
・しかし既存企業や製造業まで一様に強くなっているわけではない
というのが、2026年第2四半期の数字から見えるタイ経済の姿と言えそうだ。

GDM編集部







