
2025年6月の工場閉鎖件数、新設と並ぶ異例の統計
タイの製造業は疲弊の兆しを見せており、2025年1~7月の公式統計によると、工場の閉鎖件数が新設件数と同数となった。こうした事態は極めて珍しく、経済の脆弱さが続いていることを浮き彫りにしている。
工業省工場局(DIW)のデータによれば、この期間も新工場は設立され続けたが、閉鎖件数は高止まりしている。背景には、米国による新たな輸入関税の影響が今後タイの輸出を直撃する懸念があり、製造業者にさらなる不透明感を与えていることがある。
雇用への影響
新設工場による雇用創出は年央にかけて急減し、6月の新規雇用は1,413人にとどまった。一方、閉鎖による失職者は2,307人に達した。1~7月の期間を通じて、労働需要の変動は工場稼働の不安定さを反映している。
投資動向
資本投資も弱含みを見せた。6月の新設工場投資額はわずか26億バーツと、年内でも最低水準の一つとなった一方、閉鎖による資本流出は31億バーツに達した。7月には拡張プロジェクトへの投資が117.9億バーツに回復したものの、新規工場案件への投資は93.8億バーツと低調が続いた。
業界アナリストは、この数字は国内外の圧力に対応するための調整期を示していると指摘する。今後の製造業の行方は、企業が変化する貿易環境、上昇する運営コスト、そして需要変動にどれだけ適応できるかにかかっている。
出典:
Thai industrial sector faces mounting pressure as factory closures (The Nation)
Thai Labour Market Journal June, 2025 (Department of Employment)

GDM編集部