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タイ不動産記事Thai Real Estate Article

中国投資の拡大でEEC工業用地が上昇、チョンブリ・ラヨーンで20〜30%高

2026/07/01
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タイ東部経済回廊(EEC)において、中国企業による工業用地需要が高まっている。とりわけチョンブリ県とラヨーン県では、中国資本による土地取得や工場用地の確保が進み、工業用地価格の上昇につながっている。

The Nationによると、タイ工業団地公社(IEAT)のデータでは、タイの工業団地における中国投資家の比率は2019年の6%から、2026年第1四半期末には17.06%まで上昇した。これは日本の22.75%に次ぐ水準であり、中国企業の存在感が急速に高まっていることを示している。

中国企業の進出がEECの土地需要を押し上げ

中国企業の投資は、工業団地内の土地購入・賃借にとどまらず、将来的な開発を見込んだ周辺エリアにも広がっている。特にラヨーン県プルワックデーン、チョンブリ県シラチャ郡ボーウィンなど、既存の工業集積に近いエリアで土地取得が活発化している。

報道によると、一部の中国系事業者は不動産仲介やブローカーとして市場に参入しながら、実際には大規模な土地を集約し、段階的に工業用地として開発する動きも見られる。こうした土地の一部は、その後、別の中国企業に売却されるケースもあるという。

この流れを背景に、チョンブリ県とラヨーン県の工業用地価格は過去2年間で20〜30%上昇したとされる。全国の工業用地平均価格は1ライあたり831万バーツである一方、EECではチョンブリが最大950万バーツ、チャチューンサオが775万バーツ、ラヨーンが750万バーツと、全国平均を上回る水準となっている。

空室率は低下、工業用地需要は底堅く推移

Cushman & Wakefield Thailandのデータとして、2026年第1四半期時点のタイ国内の工業団地用地は22万2,388ライとなり、2025年末から約600ライ増加したと報じられている。一方、工業団地用地の空室率は前四半期の6.52%から6.2%へ低下しており、世界経済の不透明感が続く中でも、タイの工業用地需要が依然として堅調であることがうかがえる。

IEATのスメート総裁によると、工業団地における中国投資家数は2023年の875件から、2024年には1,256件、2025年には1,584件へと増加した。今後もテクノロジー、データセンター、デジタル事業、自動車部品、EV、電子機器、鉄鋼・金属分野を中心に、中国投資は増加すると見込まれている。

「ゼロドル型」投資とノミニー構造への懸念

一方で、中国投資の拡大には懸念もある。報道では、中国資本・中国人労働者・中国製資材・中国系サプライチェーンを中心に構成され、タイ国内企業への波及効果が限定的な、いわゆる「ゼロドル型」の工場・工業団地モデルが問題視されている。

また、タイ人名義の法人を利用して土地を取得するノミニー構造への懸念も示されている。中国投資家がタイの会計事務所や法律事務所を通じて名義会社を設立し、EEC内外の土地を取得しているとの指摘もある。こうした動きは、ヤワラートやフワイクワーンなどの都市部商業エリアでも同様に問題視されている。

土地価格や賃料の上昇は、地元企業にとって事業拡大の障壁となり得る。一部地域では土地・賃料コストが3倍近くまで上昇したとされ、地場事業者が工場拡張や商業スペースの確保を断念せざるを得ないケースも出ているという。

日系企業に求められる立地戦略の見直し

EECにおける中国投資の拡大は、タイの製造業集積をさらに厚くする一方で、工業用地価格や賃料の上昇を通じて、既存企業のコスト構造にも影響を与えつつある。

特に日系企業にとっては、チョンブリ、ラヨーンといった従来の主要立地に加え、周辺エリアや新興工業団地の選択肢を含めた立地戦略の再検討が必要となる可能性がある。土地取得・賃貸コスト、サプライチェーン、労働力、物流アクセス、許認可リスクを総合的に見ながら、EEC内での拠点配置を見直す動きが今後さらに強まるとみられる。

中国投資は、タイの産業高度化にとって重要な推進力である一方、地価上昇、地場企業への圧迫、ノミニー問題といった副作用も伴う。EECは今後もタイ製造業の中心であり続けるが、その競争環境はこれまで以上に複雑化している。

出所:The Nation “Chinese investment drives EEC land prices higher in Thailand”(2026年6月23日)を基に作成。記事内で引用されているIEAT、BOI、Cushman & Wakefield Thailandのデータ・コメントを参照。

高尾 博紀プロフィール写真
GDM (Thailand) Co., Ltd.
代表取締役社長
高尾 博紀

早稲田大学商学部卒業。2008年来タイ。ホテル・オフィス用地や工場倉庫用地及びホテルやオフィス、商業施設などの事業用不動産売買に強みを持つ。タイ国内において1,500,000㎡を超える不動産取引実績を有し、企業の不動産取得支援を行っている。



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