タイ地主に土地売却圧力、価格5割下落も―景気低迷と土地税負担が市場を動かす
タイの不動産市場で、富裕層や地主による土地売却の動きが強まっている。タイ経済紙プラチャーチャート・トゥラキットは、景気低迷と土地・建物税の負担増を背景に、一部の土地所有者が価格を大幅に引き下げて売却を急いでいると報じた。場所によっては土地価格を最大50%程度下げても買い手がつきにくいケースがあるとされている。
背景にあるのは、不動産市場の長期的な停滞である。住宅市場では購買力の低下や住宅ローン審査の厳格化が続き、開発会社による新規用地取得も慎重になっている。こうした中、これまで資産として保有されてきた土地にも流動化圧力がかかり始めている。

特に注目されるのが、未利用地に対する土地・建物税の負担である。タイの土地・建物税制度では、空き地や未利用地に対して課税され、3年以上利用されない場合は税率が追加で引き上げられる仕組みとなっている。財政政策事務局が公表する土地・建物税法の英訳資料でも、未利用の土地・建物について、3年ごとに0.3%ずつ税率が上がり、上限は3%と定められている。
記事によると、2026年には3年以上放置された土地の税負担が、評価額100万バーツあたり3,000バーツから9,000バーツへ上昇するケースがあり、保有コストの増加が売却や賃貸活用を促す要因になっている。

この動きは、タイの土地市場が従来の「保有していれば価値が上がる」という局面から、保有コストと収益性をより厳しく問われる局面に移りつつあることを示している。開発余地のある好立地であっても、買い手側は事業採算や資金調達環境を慎重に見極めており、土地価格の調整が進む可能性がある。
一方で、資金力のある開発会社や投資家にとっては、これまで市場に出にくかった土地が売却対象となる可能性もある。特にバンコク周辺部、EEC関連地域、物流・工業用地需要のあるエリアでは、価格調整が進むことで中長期的な取得機会が生まれる可能性がある。

タイ不動産市場では住宅需要の鈍化が続く一方、土地保有者側にも税負担という新たな圧力が加わっている。今後は、土地を単に保有するのではなく、売却・賃貸・開発・用途転換を含めた資産活用の判断がより重要になりそうだ。
出所
- Prachachat Turakij「เศรษฐีเทขายที่ดินลด50% ศก.ฝืด-หลบภาษีปรับใหญ่รอบ 30 ปี」
- タイ財政政策事務局「Land and Buildings Tax Act, B.E. 2562 (2019)」

GDM編集部







