タイ工業団地の土地需要、5四半期ぶりの高水準― 3つの要因が重なり急増
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タイの工業団地市場が2026年第1四半期に力強い回復を見せた。コリアーズ・タイランドの最新レポートによると、同期間の工業用地の吸収量は合計1,914ライ(約3,062ヘクタール)に達し、前年同期比16.70%増と、5四半期ぶりの最高水準を記録した。稼働率も82.55%まで上昇した。
特に注目されるのは取引の集中度で、所有権移転の70%超にあたる50件中35件が3月だけに集中するという、異例のパターンが見られた。この急増の背景には、約6週間のうちに重なった3つの要因がある。

① BOIのインセンティブ延長が投資決断を後押し
2026年1月、タイ投資委員会(BOI)が投資奨励措置を2027年末まで延長すると発表。政策の方向性を見極めていた投資家たちが一斉に案件を前進させ、土地取得を急いだ。
② 米国の関税政策が輸出企業に「期限」を突きつける
2月20〜21日、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税権限の裁定と15%の一律輸入関税が打ち出された。さらにタイ商務省が2026年7月までの対米関税交渉妥結を目標に掲げたことで、輸出サプライチェーンに連なる企業が生産拠点の確保と投資場所の決定を加速させた。
③ ホルムズ海峡閉鎖が物流コストを押し上げ
2月28日のホルムズ海峡閉鎖により、グローバルな物流・エネルギーコストに圧力がかかった。貨物保険料は即座に4〜6倍に跳ね上がり、航路変更で輸送日数もさらに10〜15日延伸。多くのメーカーが操業コストの上昇前に費用を固定しようと、土地の予約を前倒しした。
供給はEEC中心に拡大、空き地には潜在需要も
2026年第1四半期末時点で、タイ国内の工業団地の指定面積は213,941ライ。正味の賃貸・売却可能面積は143,251ライで前年比6.29%増となった。新規供給4,369ライはすべてEEC(東部経済回廊)内の既存団地の段階的拡張によるもので、新規のグリーンフィールド開発は行われなかった。
約24,900ライの空き地が残るものの、コリアーズは一部がすでに交渉中または移転手続き待ちであり、実際の需要は数字が示すより強いと分析している。
下半期は大型BOI承認案件が牽引へ
2025年にBOIが承認した投資案件は3,370件・総額1.88兆バーツ(前年比67%増)に上る。2026年通年の工業用地需要は約7,000ライと予測されており、承認案件が実際の取引に転換する第4四半期に向けて需要は一段と加速する見込みだ。
エネルギー安定性とESGが新たな競争優位に
タイは予備発電能力・再生可能エネルギー政策・EECのユーティリティ体制において優位性を持ち、2026年2月にタイランド先物取引所(TFEX)でカーボンクレジット取引が承認されたことで、ESGを重視する海外投資家にとっての魅力もさらに高まっている。

GDM編集部







