EEC工業用地価格が2年で最大3割上昇、中国系資本が市場を再編
中国系資本が押し上げるEEC工業用地価格

不動産サービス大手Cushman & Wakefield Thailandによると、チョンブリ県およびラヨーン県の工業用地価格は、過去2年間で20〜30%上昇した。主な要因は、中国系投資家が工業団地内外の土地を積極的に取得していることである。
2026年第1四半期時点で、タイ国内の工業団地用地は約22万2,388ライとなった。これは2025年末から約600ライ増加しており、チョンブリ県の新たな工業団地拡張が反映されたものである。工業団地内の土地空室率は6.2%まで低下し、前四半期の6.52%からさらに改善した。世界経済の不透明感が残る中でも、工業用地への需要は依然として強いことを示している。

全国の工業用地平均販売価格は1ライあたり831万バーツで安定しているが、EECエリアでは明確な価格差が見られる。チョンブリ県の平均価格は1ライあたり950万バーツと最も高く、チャチューンサオ県が775万バーツ、ラヨーン県が750万バーツで続く。特にチョンブリ県は、外資系製造業や物流関連企業の進出先として人気が高く、全国平均を大きく上回る水準となっている。
倉庫・レンタル工場では空室率が上昇

一方、倉庫・レンタル工場市場には減速の兆しも見え始めている。2026年第1四半期時点で、全国の完成済み賃貸倉庫の総面積は約605万㎡と前年並みの水準を維持したが、空室率は2025年第4四半期の15.23%から15.54%へ上昇した。背景には、世界経済の減速による製造業・輸出への影響に加え、新規倉庫の供給が続いていることがある。
レンタル工場についても同様の傾向が見られる。ここでいうレンタル工場とは、企業が自社で土地を取得して工場を建設するのではなく、すでに建設済みの工場建物を借りて操業できるタイプの物件を指す。総面積は342万㎡で横ばいだったものの、空室率は9.53%から10.57%へ上昇した。
賃料については大きな変動はなく、完成済み賃貸倉庫の平均賃料は月額1㎡あたり158バーツ、レンタル工場の平均賃料は月額1㎡あたり194バーツとなっている。
今後3年間で46万1,000㎡を超える新規倉庫スペースが市場に投入される予定であり、賃料の上昇余地は限定的になる可能性が高い。こうした環境の中、事業者側ではスマート倉庫、温度管理倉庫、自動化配送センターなど、専門性の高い倉庫開発によって差別化を図る動きが出ている。単に面積を供給するだけでなく、物流効率や温度管理、自動化対応といった付加価値が、今後の競争力を左右する要素になりつつある。
外国投資の拡大と「質」の見極めが課題に
また、いわゆる「グレーな中国資本」への警戒も引き続き強まっている。土地所有、建設許可、工場ライセンス、環境影響評価などについて、政府や関係機関による監視強化が求められている。一部の投資家は合法的に事業を進めている一方で、法の抜け穴を利用するケースもあるとされ、競争環境だけでなく、環境問題、違法労働、地域社会への長期的影響も懸念されている。
EECの工業不動産市場は、米中対立やサプライチェーン再編、生産拠点移転の流れを背景に、今後も一定の成長が見込まれる。しかし、今後の焦点は単に外国投資を呼び込むことではなく、投資の質をどのように見極めるかに移っている。外資は雇用創出や経済成長に寄与する一方、監視が不十分であれば、環境負荷や地域社会への悪影響といった構造的な課題を残す可能性がある。
出所:https://www.nationthailand.com/business/property/40066388

GDM編集部







