
タイ進出中国企業の不正事業:摘発相次ぐ2025年最新動向
目次
2025年2月時点でも同様の問題について記事を執筆しているが(前回記事はこちら)、今回はその後に続いた摘発事例を中心とした最新版のまとめである。
2025年に入り、タイ国内での中国系企業および関係者による不正行為に関する摘発が加速度的に増加している。違法労働、不正名義企業、粗悪建築資材の使用、偽装留学生、偽ブランド品の流通など、多岐にわたる問題が続発している。タイ政府も対策を強化する姿勢を見せており、外国企業に対する監視体制の強化が進められている。
業界別の摘発事例(2025年3月〜5月)
1. 建設・不動産業界の不正
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プーケット県で、違法に雇用された中国人建設労働者が摘発された(2025年3月6日)記事リンク
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ミャンマーの地震後、崩落事故を起こしたSAOビルの請負業者に中国企業が49%出資していたことが判明した(3月29日)記事リンク
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バンコクで倒壊したSAOビルでは、粗悪な中国製鋼材の使用が原因とされている(4月1日)記事リンク
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パタヤの中国系不動産事務所が摘発され、捜査が拡大している(5月26日)記事リンク
2. 名義企業・詐欺・経済犯罪
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バンコクと地方都市で、中国人21名とタイ人51名が不正名義企業ネットワークで逮捕された(3月27日)記事リンク
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高級コンドミニアム事業(20億バーツ規模)の背後に名義企業ネットワークが存在した(5月1日)記事リンク
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中国人によるオンライン詐欺でパタヤにて逮捕された(5月28日)記事リンク
3. 偽装留学生・ビザ不正
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仏教大学が中国人偽装留学生のビザ取得スキームに関与していたとされる(4月24日)記事リンク
4. 知的財産侵害・偽ブランド
タイ政府・機関による対応強化
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タイ政府は名義企業の取り締まりを強化し、関連法の見直しを実施中である(4月23日発表)記事リンク
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工業技術振興協会(IIAT)は、中国企業が国際見本市で出展した製品の一部について、それがタイ企業による発明・技術であるかのように偽って展示・販売したとし、知的財産権を侵害された可能性があるとして法的措置を検討している(4月29日)記事リンク
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名義ビジネスによる経済損失は約468億円(12.9億バーツ)にのぼるとされ、対策が急務である(5月21日)記事リンク
まとめ
このように、中国企業および中国人関係者による不正行為は建設業、教育機関、不動産、ブランド商品流通など多方面に広がっており、タイ社会・経済に深刻な影響を与えている。政府の規制強化は今後、合法的に事業を行う外国企業にも波及する可能性があり、進出企業にとっては一層の透明性と法令順守が求められる局面となっている。
出典:The Thaiger, Nation Thailand, Bangkok Post, Khaosod English 各報道(2025年3月〜5月)

GDM編集部